マツコ・デラックスが初めてNHKで番組司会をしたことでも話題を集めたNHKスペシャル『AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン』は大きな反響を集めた。そのなかでAIが取り上げた提言のひとつ、「健康になりたければ病院を減らせ」について、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が真贋を解説する。
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7月22日放送のNHKスペシャル『AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン』は、実におもしろい番組だった。
AIが、700万を超えるデータをパターン認識という方法で解析し、ある結論をはじき出す。AIはブラックボックスだから、どんなロジックでその結論を導きだしたのかはわからない。
AIが出した提言の一つに「健康になりたければ病院を減らせ」というのがあった。正確には、病院ではなく、病床数が減ると地域は健康になるといいたかったようだ。その例として、夕張市が紹介された。
夕張市はかつて171床の病院があったが、財政破綻によって、19床の診療所だけになった。これによってがんの死亡率は低下し、脳卒中も低下し、平均寿命も延びた。高齢者一人当たりの年間医療費は81.1万円から76.9万円に減った。これらのデータだけを見て、「病院や病床数を減らせば、みんなが健康になる」と早合点してはいけない。