〈年金を必要としない富裕層に年金返上を求め、子育て財源に充てる制度を考えている〉──自民党筆頭副幹事長である小泉進次郎氏の“爆弾発言”は、新浪剛史・サントリーHD社長との紙上対談(朝日新聞8月25日付朝刊)で飛び出した。
現在の社会保障制度は高齢者に手厚い一方で子育て支援は薄く、「世代間格差」が広がっているというのが進次郎氏の持論で、社会保険料を増額して児童手当を増やす「こども保険」創設を提唱してきた。今度はその子育て財源のために“年金を返上すべし”と言い出したのだ。
「すでに経団連と経済同友会の皆さんにはお願いした。話をしたらきょとんとされたが、『年金をいくらもらっていますか』と聞くと皆さん答えられない。年金額を見る必要がないくらい余裕があるからだ。その後、『返上したよ』と連絡をくれた企業の会長もいる」
進次郎氏はそう語り、「返上者には厚生労働大臣表彰や叙勲などをすることも考えられる」と“ニンジン”もぶら下げた。
“年収がケタ違いの大企業の会長や社長なら年金返上しても困らないだろう”
そう考えると相手の思う壺になる。現在の在職老齢年金制度は、65歳以上の在職者は年収552万円(月収46万円)を超えると厚生年金の報酬比例部分が段階的に減らされ、年収約1300万円で全額支給停止となる。経団連の役職に就いている経営者はそもそも年金を停止(基礎年金の約6万6000円のみ支給)されている人たちなのだ。