9月6日に千葉の幕張メッセで行われた日産自動車のEV(電気自動車)、新型「LEAF(リーフ)」の発表会は、日産がこれほどの意気軒昂ぶりを見せたのはどれほどぶりのことだろうかと思うくらいの派手派手しさだった。
結構な制作費がかかったものと推察される、約8分にも及ぶプロジェクションムービーの後、西川廣人社長が挨拶に立つ。
「われわれ日産はEVの先駆者であることを自負している。今日、世界は本格的なEVの時代に向けて動き出している。新型リーフは日産がゼロ・エミッション(排出ガスゼロのクルマ)のリーダーシップをより強固なものにするクルマ。今後の日産の『インテリジェントモビリティ』の牽引役となるモデルだ」
と、日産がEVのリーダーであることを誇らしげに宣言した。続いてダニエレ・スキラッチ副社長が舞台に立つ。そのスピーチは一層挑戦的であった。
「我々が2010年に気づいていたことに、他社は今、やっと気づいた。それはEVが自動車産業を動かすということだ。そのEVで日産はどのメーカーをもしのぐ存在だ。
リーフは発売以降、49か国で累計30万台を売った。延べ走行距離は35億kmだが、その間、バッテリーの充電事故は起きていない。最も販売台数の多いEVを持つということは、最も多くのデータを蓄積できるということ。
派手な技術を投入して目立つのは簡単なことだが、我々には84年に及ぶクルマづくりの歴史を持つという、テスラにはない特徴がある。新型リーフはただのEVではない。乗る人に驚きの感動体験を与えるクルマだ」
と、高級EVでアメリカのEV販売首位を走るテスラを名指ししながら、EV界の真の盟主は日産であると宣言した。
日産にとって新型リーフの発表は、このうえない追い風の中でのイベントとなった。先進国ではCO2(二酸化炭素)低減、新興国では大気汚染防止の観点からEVが注目を浴びるなど、世界は一大EVブームの様相。
7月にはフランスのユロ環境相が「2040年に内燃機関廃止」という、多分に政治的な思惑を含みながらも大胆きわまりない目標を掲げて世界を驚かせたのもそのムーブメントに拍車をかけた。