夏ドラマも佳境。今季は俳優陣に注目が集まったクールと言えるのではないだろうか。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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今クールのドラマもいよいよクライマックスへ。スタート前は予測できなかった「意外な盛り上がり」や「想定を超えた活躍」がありました。この夏に放送されたドラマにおける「ダークホース」=予想外の活躍をし番狂わせを演じた勝馬とは、誰でしょうか?
まず筆頭は、この人以外にいない。朝ドラ『ひよっこ』と『過保護のカホコ』。2本のドラマ出演だけで、まさしく「国民的人気」をさらってしまった竹内涼真さん。いったい誰が、ここまでの走りっぷりを予想できたでしょうか?
しかも『ひよっこ』では途中で姿を消した脇役にすぎなかった。それが「島谷ロス」を生み「麦野くん萌え」につながって……文句なしのぶっちぎりダークホースと言っていいでしょう。
もう一人、すでに人気はあったけれど「想定外の姿」を画面いっぱいに表現し、視聴者に驚きと悲嘆を与えたダークホースといえば……? 大河ドラマ『おんな城主 直虎』で非業の死を遂げる小野政次になりきった高橋一生さん。
とにかく凄まじかった。磔にされ、しかも愛する直虎自身に槍で突かれて死んでいくシーンは演技の枠をはみ出すような、鬼気迫る雰囲気。「不憫すぎてボロ泣き」「もう立ち直れない」と視聴者の悲痛な叫びが続出し、追悼CD「鶴のうた」(小野の幼名が鶴丸)も売り切れ、「大河ドラマの歴史に残る名場面」という評価が定着しました。
となれば、今一つ注目度が低かった『直虎』にとって高橋さんは実にありがたいダークホースということに。
さて、競馬では最も格の高いレースを「G1レース」と言いますが、その常連で期待され続け注目を集めても、なかなかレース本番で勝てない馬がいます。
それに似て、「連ドラの主役」という非常に高いボジションをたびたび手にしつつ視聴率という壁に阻まれ続けてきた、あの人。期待が大きいだけに数字が出ないことで「低視聴率の女王」という不名誉な呼称までつけられてしまった、あの人。そしていよいよこの夏。持てる力を存分に発揮しぐんと頭角を現したのが『黒革の手帖』で銀座ママを演じる武井咲さんです。
「やっと武井咲の代表作が生まれた」という賞賛の声も多い。「着物姿があそこまで板につくとは」と驚きの声も。悪賢い男たちにズラリと取り囲まれても冷静沈着、肝の座った武井ママは美しいだけでなく、酸いも甘いも噛み分けた、ケレン味溢れる悪女。まさか武井さんがまだ23歳なんてとても信じられません。