宮崎県都城市は2年連続(2015~2016年度)でふるさと納税を通じた寄付額が全国1位となった自治体だ。目玉となる返礼品には宮崎牛やブランド豚、芋焼酎などの地元特産品が並ぶ。ところが、市に返礼品となる商品を納入してきた地元業者はこう嘆くのだ。
「6月以降、市からの返礼品の受注は5分の1に減った。正直、ふるさと納税ブーム頼りになっていたところもあって、今年の売り上げは去年の5~6割減にはなりそうです……」
ふるさと納税は第一次安倍政権下の2007年に当時の菅義偉・総務大臣(現・官房長官)が創設した。地方自治体に寄付をすると住民税の控除が受けられ、さらに返礼品として地元名産品を受け取れるという制度。豪華な返礼品目当てに寄付をする人が急増して一大ブームとなった。
「地方創生」の名のもとに安倍政権は2015年度から寄付の上限額を2倍にするなど、ブームを煽ってきた。しかし、返礼品競争が過熱し、全国の自治体でその調達コストが高額化。「寄付されたお金を地元のために使うという制度の趣旨から外れている」という批判が高まると、政権は態度を一変させた。
4月に総務省は寄付額に対する返礼品の「還元率」を3割以下にするよう全国の自治体に通知を出した。それがブームに冷や水を浴びせたのだ。
冒頭の都城市の業者は、「通知を受け、6月から返礼品の見直しがあった。それまでは還元率は8割くらいあったが、3割に抑えたので“お得感”がなくなって寄付者が減っている」と恨み節が止まらない。