9月10日に初日を迎えた大相撲秋場所は、稀勢の里、鶴竜、そして白鵬の3横綱が休場する異常事態となった。3横綱の初日からの休場は昭和以降はじめてのことである。その裏ではコントのような駆け引きが繰り広げられていた──。
唯一の日本人横綱・稀勢の里も今回は後がなかった。2場所連続途中休場のなか、「3度目の過ち」を犯せば、引退の2文字がチラつき始める。今回、稀勢の里には珍しく、稽古では積極的な姿勢が見られなかった。
「左上腕の状態は万全にはほど遠く、さすがに弱気になっていたようです。しかし協会としては稀勢の里と白鵬という2大人気横綱がどちらもいないのは困る。稀勢の里の責任感は人一倍ですから“もし白鵬が出ないなら自分が”と悲壮な決意をもっていたようです。だから最後まで出場するか悩んでいた。
稀勢の里には同情を禁じ得ない部分もあるが、言ってしまえば4横綱がお互いの腹を探り合って“どうぞ、どうぞ”とやっている状態。まるでダチョウ倶楽部のネタですよ」(協会関係者)
◆17年ぶりに幕尻優勝!?
一時は4横綱全員が休場という可能性もあったため、協会内部も揺れた。