糖質摂取量と糖尿病患者の関係について、衝撃のデータが存在する。2002年に1日平均で271.2グラムだった炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取量は、2014年に255.8グラムまで減少した。その一方で糖尿病患者は同時期に228万人から317万人まで増加したというのだ。
糖尿病対策として重要なのが「血糖値を低くコントロールすること」だ。「糖質制限」によって血糖値を上げる原因となる糖質を減らす。これが近年、主流となっている糖尿病への対策であり、そのための食事法も関心を集めている。
だが、先に挙げたデータは、糖質制限が糖尿病の対策にならない可能性を示唆している。それどころか糖質制限が糖尿病の原因となっている可能性があるというのだ。
糖尿病の原因を糖質制限そのものではなく、それに伴う食生活の変化にあると見る研究もある。2010年に米ハーバード大学公衆衛生大学院のコニング教授らが発表した研究では、4万人以上の一般男性を20年以上にわたって追跡調査し、対象者の「食生活」と「糖尿病発症リスク」の関係を調べた。
その結果、低炭水化物とともに「動物性たんぱく質」と「動物性脂質」を多く摂取した群では糖尿病の発生リスクが最も高かった。大量の赤身肉や加工肉を含む食事では、特にその傾向が顕著だったという。
一方で、糖質制限とともに植物性たんぱく質と植物性脂質を多く摂取した群は、糖尿病発症リスクがあまり増加しなかった。