近年、演歌界に変化が起きている。アイドル顔負けの美貌と歌唱力を兼ね備えた若き歌姫が次々と現れているのだ。東日本大震災で疲弊した故郷を歌で笑顔に変えたいと語るのは、福島県出身の津吹みゆ(21)だ。
「子供の頃、音楽療法士の母に連れられて老人ホームに行きました。皆さん、音楽に乗って楽しそうに体を動かしながら笑っているのを見て、幼いながら音楽の力の大きさを感じました」
人を支える母の背中を見て介護福祉士に憧れたが、テレビの歌番組に出演したのをきっかけにスカウトされた。1年間、地元・福島から東京へレッスンに通い、高校卒業と同時に上京。
「中学の卒業式の日に東日本大震災が起きて、自宅はなんとか無事でしたが周りは全壊や半壊した家もたくさんありました。演歌歌手の夢を叶えた私にできるのは、歌で人を幸せにすることだと覚悟して毎日を一生懸命生きています」
新曲『雨のむこうの故郷』では、離れた故郷に思いをはせる主人公の心を切々と歌い上げる。
【プロフィール】つぶき・みゆ/1996年2月28日生まれ。福島県矢吹町出身。2015年『会津・山の神』でデビュー。今年、地元である矢吹町PR大使に就任。3枚目のシングル『雨のむこうの故郷』が発売中
■撮影/内海裕之、取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2017年9月22日号