地方自治体が実施する乳がん検診でマンモグラフィーを受けたばかりの女性(56才・パート)が顔をゆがめながら、こう嘆く。
「毎回のことだけど、乳房を思いっきり引っ張られ、アクリル板に挟まれて…さらにそれを押しつぶされるのは、あまりに痛いし、精神的にもつらい。脂汗をかきながら歯を食いしばらないと、とても耐えられない。検査結果は異常なしで安心したけれど、あの激痛が忘れられず、検診から足が遠のいてしまう…」
そんな女性たちにうれしいニュースが飛び込んできた。9月4日、画期的な乳がん検査装置が発売された。その名も『エルマンモ アヴァン クラス』。島津製作所から発売されたこの新装置は「痛くない」のだという。ちなみに、その価格は1台3億5000万円だ。
◆痛くない、短時間、高性能の3拍子
厚労省の国民生活基礎調査(2016年)によれば、乳がん検診の受診率は40%にも満たない。今年6月に34才の若さでこの世を去った小林麻央さんが病気を公表して以降、世の女性たちの乳がんに対する意識が大きく変わってもなお、この数字である。大きな要因となっているのが「痛み」だ。
本誌・女性セブンが読者410人に緊急アンケートを実施したところ、312人が「痛い」と感じており、さらに69人は「あまりの痛みにその後、検診を受けていない」と答えている。
そんな中、登場したのが前述の『エルマンモ アヴァン クラス』。この新装置は一体どんなものなのか。島津製作所広報室が解説する。
「2014年9月に弊社が発売した『エルマンモ』の後継機となる『エルマンモ アヴァン クラス』は、高い精度を保ちつつ、撮像範囲を拡大した乳房専用PET装置です。発売したばかりの『エルマンモ アヴァン クラス』を導入している病院は今のところありませんが、弊社では3年間で国内医療機関に50台を販売する目標を掲げています」
受診者は放射性薬剤を投薬された後、胸の位置に穴があいた検査台の上にうつ伏せになり、胸を片方ずつ入れて撮影する。
「検査は両胸で15分程度。マンモグラフィーと異なり、乳房を圧迫しないので痛みはありません。また従来の全身PET装置と比べても検査画像の解像度は2倍と利点は非常に大きいです」(島津製作所広報室)
またマンモグラフィーでは見落としがちな「高濃度乳腺」のがんを見つけ出すのにも有効だという。
「高濃度乳腺とは、乳腺内に脂肪が少ない、点在している状態のことで、40代女性の4割がこれにあたります。この場合、マンモグラフィーでは乳腺全体が白く映ってしまうため、乳がんを見つけ出すのが難しい」(ベルーガクリニックの富永祐司院長)