腰が重い昨今の消費を動かしたパワーワード「インスタ映え」。今年の夏もナイトプールやカラフルなかき氷、クリームたっぷりのパンケーキなどインスタ映えするものがSNSやメディアに溢れかえっていた。
そうした写真をアップする通称「インスタグラマー」。その熱量たるや尋常でない。自前の照明を持ち歩き、写真加工にも時間を惜しまない。インスタ映えする食べ物をゲットするためならば行列だってなんのその。本気度が半端ない。
だが、基本的には女性を中心とした若者向けといったイメージがあり、「おっさん」にはハードルが高いとの印象を持つ方もいるだろう。実際に東京プリンスホテルのナイトプールに男性3人で潜入し、インスタ映えする写真撮影を試みた千葉商科大学専任講師の常見陽平氏(43)に当時の状況を聞いた。
「多くの女性が会話もほどほどに、真剣に写真撮影を行なっていました。私が乗っていた浮き輪から落ち、水しぶきを上げた際は、『水かけないでよ!』という無言の視線・圧力に晒され、ここは本当にプールなのか? という不思議な錯覚に陥りました。中年は自分以外に見当たらず、『明らかに浮いている』というアウェイ感を覚えました」
それもそのはず、ナイトプールを主催する東京プリンスホテル広報担当者によれば、「女性が9割を占め、男性は1割。その男性もほとんどが女性連れ。一緒に写真を撮影したり、デッキチェアでゆっくり過ごされています」とのこと。
常見氏がアウェイ感を覚えたのも無理ないのかもしれない。実際、記者の周囲からは、おっさんインスタグラマーに対して、こんな厳しい声も寄せられている。
「おっさんの自撮り、誰得なのか意味が分からない」(26歳会社員)
「おっさんは食べ物ばっかりUPするくせに全然美味しそうじゃない」(21歳学生)
やはりおっさんがインスタグラムに入り込む余地は無いのか……。いや、おっさんもインスタを楽しみたい。でも、「痛いヤツ」と思われたくない。だったらどうすればいいのか。インスタの“プロ”とも呼べる、H.I.S.の「タビジョ」公式インスタグラマーの一人に“おっさんが投稿するコツ”を聞いてみた。その前に、「タビジョ」の説明にはこうある。
〈心がときめき、刺激を受けられる場所を求めて、その土地の魅力を肌で感じながら、マイペースに旅をする。「行ってみたいな」と思ってもらえるような1枚が撮れたらとシャッターを押す。旅する女子「タビジョ」〉