投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が9月18日~9月22日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は上値の重い展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)は19-20日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、現行の金融政策を維持する公算。ただ、バランスシート縮小を決定するとみられており、金融正常化方針の維持が好感されそうだ。加えて、足元のインフレ指標は予想をやや上回っていることから、年内追加利上げへの期待は高まりそうだ。
また、トランプ政策の目玉である税制改正論議が、野党との協議により進展する見通しとなり、目先的に株高・ドル高の相場展開になる可能性がある。大型ハリケーンによる被害は当初の想定を下回るとの見方が広がっており、長期金利水準が持ち直していることもドル買いを誘発するだろう。
さらに、24日に行なわれるドイツ連邦議会選を控えてユーロ買いは少なくなる可能性がある。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟の第一党維持がメインシナリオだが、選挙結果について慎重な見方が広がった場合、ユーロ売り・ドル買いが活発となり、この影響でドル・円の取引でもドル買いがやや優勢となる可能性がある。
一方、引き続き北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米朝対立は為替相場に大きな影響を及ぼすことが予想される。国連安保理は11日、北朝鮮に対する石油輸出を禁じる制裁決議を全会一致で採択したが、北朝鮮は15日、制裁決議に対する報復行動とみられる弾道ミサイル発射を強行した。北朝鮮の挑発行為を抑止する具体的な方策は見当たらず、東アジア情勢の緊迫化を警戒したリスク回避の円買いがただちに縮小することは難しい。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(19-20日開催予定)
FRBは日本時間21日午前3時に声明を発表し、その後イエレンFRB長が記者会見する。政策金利は1.00-1.25%に据え置きの公算。バランスシートの縮小開始時期が決定された場合、金融政策正常化の方針堅持が好感され、年内追加利上げ期待はやや高まりそうだ。
【日銀金融政策決定会合】(20-21日開催予定)
日銀は20-21日に金融政策決定会合を開催し、現行の金融政策の維持を決める公算。また、終了後は黒田東彦総裁が記者会見する。従来の金融緩和策の「出口」をめぐる議論に関して「時期尚早」としていた姿勢を改めた場合、早期の金融緩和解除への思惑が広がり、円買い材料になる。
・9月18日-22日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。