民進党の代表選挙は、予想以上に盛り上がりに欠けたものだった。野党第一党としての活躍も期待されていないかのように、無関心な人も多かった。近著『武器としての経済学』が話題になっている経営コンサルタントの大前研一氏が、民進党からなぜ民意が離れているのか、期待されている役割とは何なのかについて、解説する。
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民進党の代表に前原誠司元外相が選ばれた。しかし、今回の代表選挙は国民の関心が非常に薄く、全く盛り上がらなかった。代表代行となった枝野幸男元官房長官との争点が、どちらの「小池」(小池百合子氏or小池晃氏)と組むかとか、消費税を増税すべきか否かとか、「原発ゼロ」の目標をいつにするかとか、党内の保守派とリベラル派の対立にすぎなかったからである。民進党は、相変わらず右足と左足が違う方向に動いているのだ。
しかも、代表選で前原氏は「次期衆院選で政権交代を目指す」と述べた。私は前原氏と面識があり、何度か意見交換もしているが、この目標自体が大間違いであり、民意を理解していないと言わざるを得ない。
国民の大半は、もはや政権交代は望んでいない。前回の政権交代で誕生した民主党政権があまりにもお粗末だったため、政権交代は懲り懲りだと思っているのだ。にもかかわらず、民進党は十年一日のごとく政権交代ができる「非自民」の受け皿を、などと叫んでいる。
今の日本に必要なのは、かつての日本社会党や民社党のような“健全野党”である。なぜなら、結局、日本は「何でもあり」の“デパートメント政党”である自民党が支配しているからだ。したがって、自民党と中央集権体制に胡座をかく役人が“悪さ”をしないか監視し、間違った政策の軌道修正をすることが野党の役目なのである。