16球団32人──今シーズン3度目のマウンド(9月12日)に立った日本ハム・大谷翔平を目当てに集まったメジャーのスカウトの数である。この日は今季最速163キロをマークし、約1年ぶりの白星も挙げた。メジャー各球団のスカウトを取材したスポーツ紙記者がいう。
「すでに大谷は投手としては最高ランクと評価されており、目下の興味は“打者としての可能性”です。9月8日、西武戦で見せた特大の2ホーマーはメジャーのスカウトたちの度肝を抜いた。“スイングスピード、内角のさばき方、打者としても過去の日本選手でベストだ”と語ったスカウトもいた」
戦力に余裕のあるヤンキースなどは「投手一本」の姿勢を崩していないといわれるが、中堅・弱小球団なら「二刀流での起用」を交渉材料にしてくる可能性は十分にある。
「特に興味を示しているのはDH制のないナ・リーグの球団です。あるスカウトは“投手として年間70打席、代打として30打席、交流戦のDHとして20打席”など具体的なシミュレーションもしていた」(同前)
大リーグ研究家の福島良一氏は、「大谷の存在がメジャーリーグを変え始めている」と証言する。
「レッズは今年6月のドラフト1巡指名で18歳のハンター・グリーンを獲得し、ルーキーリーグでは投手と打者(野手)の両方で起用している。メジャーリーグは過密日程で、体力的負担も大きい。そのため学生時代に投打両方で才能を見せていた選手でも、どちらかに絞らせていた。それがここに来て柔軟になってきている。明らかに“大谷シフト”の動きのひとつでしょう」