高校通算111本塁打を記録し、「プロ入りか、大学進学か」が注目されていた早稲田実業の清宮幸太郎が、プロ志望届を出すことを表明した。彼は「高卒」でのプロ野球人生を選択したわけだが、統計的に見れば「高卒」と「大卒」のどちらが有利なのか。
たとえば、1987~89年生まれの選手が28歳でも現役でいられたかを調べた「28歳生存率」は、打者では高卒が60%、大卒が75%と大卒のほうが高い。入団時の年俸も大卒の方が高い。ならば引退後はどうか。『プロ野球なんでもランキング』の著者である広尾晃氏の協力を得て、高卒と大卒、引退後のセカンドキャリアに有利なのはどちらなのか検証した。
2007年ドラフトによる入団者のうち、高卒23人、大卒18人がすでに引退しているが、その進路は大きく異なる。
高卒選手でプロ球界に残ることができたのは全体の1割強、わずか3人のみだ。日ハムの浅沼寿紀(旭川南)や楽天の石田隆司(東海大仰星)は球団アカデミーのコーチを務め、元日ハム・豊島明好(北陸大谷)はDeNAで打撃投手になっている。
一方、大卒は5割にあたる9人が球団に残っている。楽天の長谷部康平(愛知工大)は球団の営業部でスポンサー担当、広島の篠田純平(日大)が一軍マネージャーとなっているほか、寮長、用具係など役職も幅広い。
なぜここまで差が出てしまうのか。ある球団関係者が内情を打ち明ける。
「大卒の場合、多くは口約束だが“引退後の面倒も見る”と保証しているケースが少なくない。有望な大学生の場合、終身雇用を提案する大企業の実業団と天秤にかけて入団交渉が難航することが多いからです。
球団によっては『学閥』も存在する。たとえば巨人では慶応閥が強いといわれ、かつてのドラフト1位・大森剛は現在も球団の国際部で勤務している」