一般企業はもとより、マスコミ関係でも経費削減の波は容赦なく押し寄せているようで…。テレビ業界の中の人が、昨今の「局弁」事情を明かす。
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「テレビの人はいつも『叙々苑』の焼肉弁当を食べてるんですよね?」と、ある雑誌の編集部員に聞かれて驚いた。
答えはもちろん「NO」だ。『叙々苑』の焼肉弁当といえば、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)最終回のとき、中居正広がスタッフ全員に差し入れたり、ドラマのメーン出演者がクイズ番組で優勝したときに「スタッフ100人分」など、賞品として出されたりする“特別”なものである。
カルビで一個2500円台、最高級のロースでは一個4000円近くにもなる『叙々苑』をいつも食べられる番組など、いまはどこにもないだろう。
以前は「ロケ弁」「局弁」として人気で、本当によく出ていた『津多屋』や『金兵衛』などのパッケージを見かけることも少なくなってきた。
経費削減の折、まず収録日におけるスタッフの弁当がなくなり(ADさんは、この局弁で生活していたのに…)、いまでは出演者の弁当も800円程度に抑えられているだろうか。マネジャーやスタイリストさんらの分が楽屋に大量に積まれる光景も見なくなって久しいし、段ボールに余った弁当を他の予算が少ない番組のデスクが「いただいても、いいですか?」とのぞき込むこともなくなった。
代わって、よく見るようになったのが「おにぎり弁当」だ。昨今、都内では「おにぎり専門店」が多数出店され、人気を呼んでいる。その多くが寿司店のようにネタの種類で勝負していて、カウンターで好みの具のおにぎりと味噌汁をランチやディナーにする客で賑わっているのだ。
そんな「おにぎり専門店」の中には、テイクアウトや宅配をしている店も多く、そうした店の「おにぎり弁当」をテレビ局がロケ弁、局弁として利用しているのだ。