安倍晋三・首相が今回の“抜き打ち総選挙”で急ごしらえで用意した「消費増税の使途見直し」という“大義”に対し、民進党の前原誠司・代表の反応は何とも情けないものだった。
「トンビが油揚げをかっさらうようなもの」
だから野党はダメなのだ。国民を敵に回す安倍政策に正面から対抗すれば野党が劣勢を一気に挽回する可能性があるというのに──。
「使途見直し」の中身は、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに合わせ、増収分の使い道を「国の借金返済」から幼児教育無償化などの「全世代型社会保障」にシフトするというもの。民進党関係者が言う。
「消費増税の使途については前原さんが先の代表選の時に強く主張していたものと同じ。前原民進党の存在感を完全に消しにかかっています」
しかし、経済ジャーナリストの荻原博子氏が、こんな論を唱える。
「民進党をはじめ野党は与党の議論に乗ってはいけない。使途ではなく、根本的な“増税凍結”を争点にすべきです。野党全体で増税凍結をマニフェストに掲げれば勝ち目が出てくる」
憲法改正では自民党と歩調を揃える日本維新の会だが、松井一郎代表は解散が決定した翌日のインタビューで「我々は消費増税そのものの凍結。凍結してもやりくりできる」と明言した。