東京・上野の東京国立博物館で「興福寺中金堂再建記念 特別展『運慶』」が11月26日まで開催されている。そこで、史上最も有名な仏師と呼ばれる運慶の魅力について、“運慶マニア”だという漫画家・柴門ふみさんが語る。
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仏像の中でも特に運慶作品に惹かれるのは、リアリズムに満ちあふれているから。それはただ美しいというだけはありません。例えば、筋肉の表現方法は生きた人間そのものと感じるほどで、どの角度から見てもすばらしい。作品から内面や性格が伝わってきて、想像力をかき立てられるのもいいですね。
◆一瞬で虜になった無著像との出会い
私が仏像の世界に足を踏み入れたのは、35才のこと。たまたま立ち寄った京都国立博物館で巨大な閻魔像の迫力に「なんだこれは!?」と圧倒され、仏像に興味を持ちました。運慶作品と出会ったのはその後のことです。
博物館の暗い室内でスポットライトを浴びる無著菩薩立像に、雷に打たれたような衝撃を受けました。それまで仏像といえば、奈良の大仏のように目が細く、太っているイメージでしたが、無著像はリアルで、生きてそこにいるかのよう。ただ者ではないオーラを感じ、「もっと運慶作品を見たい!」となったのです。
◆展覧会ならではの角度や光の当て方を味わって
今回の特別展『運慶』で最も楽しみなのは、15~16年ぶりに最も好きな国宝の大日如来坐像が見られること。青年のように若々しく生気がみなぎっている仏像で、運慶がこれを20代の若さで造ったことに驚かされます。自分を投影しているようにも感じますね。
運慶作品ほぼすべてを鑑賞しましたが、展覧会では光の当て方や角度などによって印象が違って見えるはず。お寺で見るのとは一味違った魅力を感じたいです。
※女性セブン2017年10月12日号