いよいよドラフト会議(10月26日)まで1か月を切った。立教大学で「スポーツビジネス論~メジャーの1兆円ビジネス」の教鞭を執るスポーツジャーナリストの古内義明氏が分析する。
* * *
早稲田実業の清宮幸太郎がプロ志望を決断し、今年のドラフトは大きな注目を集めている。
9月25日に清宮が志望届けを提出したことで、清宮サイドとプロ側の接触が可能となった。清宮は会見で、「12球団OKの立場か」という質問に、「はい。自分を厳しく指導していただき、成長していける球団に行きたい」と、いま現在全球団に門戸を開いている。さらに、会見では、「アメリカに直接行くことは、もともとそんなに(考えていなかった)」と、プロ野球経由でのメジャー移籍という結論に至ったことを匂わせた。
その一方、ドラフトまで早目に動き出すことで、プロ側の考えを聞く機会を得る方が得策だと判断したとも言える。すでに、ソフトバンク、日本ハム、ヤクルト、西武、巨人の5球団のスカウトが、調査票を持って同校を訪問。週明けにも複数球団が清宮本人と面談する予定だ。これにより、球団の熱意とともに、ビジョンや育成法などが具体的に示されるだろう。清宮サイドは父である克幸氏の同席のもと、将来的な「メジャー挑戦」の考えを各球団に直接伝えるはずだ。
彼がまだ一年生の頃、「リトルリーグワールドシリーズで、ヤンキースタジアムに行った時、ここでやらなければいけないと、言われているように感じた」と話し、「メジャー挑戦こそが最大の目標であること」を話してくれた。
現行ルールでのメジャー移籍は、9年の海外フリーエージェント(FA)権を取得するか、ポスティング制度のどちらかで行く方法でしかない。FAは本人の結果次第で道が拓けるが、ポスティングは所属球団が容認しない限り、道は閉ざされる。だからこそ、ドラフトで清宮指名のカギを握るのは、「ポスティング容認」に他ならない。
もし清宮サイドがこのポスティング容認にこだわるなら、過去12球団でポスティングを容認していない巨人とソフトバンクのドラフト戦略は方向転換を迫られることになる。早くもベイスターズの高田繁GMは容認発言をし、今後も球団戦略としてマスコミに公言する球団は出て来るだろう。