9月12日、神戸市で任侠山口組・織田絆誠代表の乗った車が神戸山口組傘下の組員による襲撃に遭い、ボディガードが射殺された。住宅街の白昼堂々の犯行は世間に衝撃を与えたが、どう見るか。ジャーナリストの溝口敦氏と、フリーライターの鈴木智彦氏が語り合った。
溝口:犠牲者が出たのは事実ですが、織田代表が助かったわけですから、任侠山口組にとっては、危機を逃れることができた。ボディガードはヤクザ経験が浅く、織田代表に憧れて任侠山口組に入り、警備係を志願していた。死後に直参扱いになったそうです。
鈴木:殉職警官の二階級特進のようなものですね。「撃ってみんかい」と言って撃たれたとか、ヤクザ経験が長い人だったらかえってできないような“ヤクザの鑑”的な振る舞いですよ。
結果として任侠山口組は窮地を逃れたわけですが、一方の神戸山口組にとっては、織田代表を殺せず目撃者は多い、おまけに証拠も残している。極めて杜撰な犯行になってしまった。最初は示威行為のつもりが衝突して口論になり、なりゆきで発砲してしまったのかと思ったほどでした。
溝口:実は織田代表が乗っていた車は神戸山口組の井上邦雄組長が贈ったものだったんです。織田代表が神戸山口組時代に全国を回っていたころ、井上組長がプレゼントした1台です。抗争に備えて防弾仕様ですが、フロントガラスだけが防弾仕様になっていなかった。このことは神戸側の人間なら知っていること。
鈴木:つまり実行犯は車の前から撃てば弾が貫通することを知っていたということですね。