「1強」の自公が「多弱」の野党を分断して蹂躙する──安倍晋三首相が描いた選挙戦略は、小池新党「希望の党」の誕生と、事実上の民進党解党・希望の党への合流という奇策により、音を立てて崩れた。
「今なら勝てる。単独過半数は確実で、与党3分の2維持も十分に可能」
そんな予測が国会の冒頭解散に踏み切る根拠だったが、果たして「自公vs希望」という構図で選挙に突入した場合、どんな結果が考えられるのか。
大きいのは民進党の最大支持組織「連合」の神津里季生会長が、「一強政治に終止符を打つため、政策や理念を共有する政党がさらに大きい塊となって選挙を戦うことはあって然るべきだ」と“民希合流”を支持したことだ。選挙予測に定評のある政治ジャーナリスト・野上忠興氏はこう分析する。
「安倍政権への批判票の受け皿ができれば、過去2回の総選挙で棄権に回っていた無党派層が動き、投票率は史上最低だった前回より大きく上がる可能性がある。希望の党を中心に野党が接戦の100選挙区で候補を一本化すれば、東京、南関東、東海ブロックを中心に希望が議席を伸ばし、全国では60~80近い選挙区で与野党が逆転する可能性がある。さらに政権批判票を吸収しやすい比例代表は希望の党に連合の票が乗って多くのブロックで自民党を大きく上回るでしょう。
そうした前提でシミュレーションすると、自民党は200~220議席で単独過半数を割り、希望の党を中心とする野党連合が190~210議席と拮抗する。残りを公明党、維新、共産で分け、政権の行方は連立工作で決まる」
そうなると、大敗した安倍政権は退陣──である。