その昔、日本の政界には「巨悪」や「妖怪」、「陰の実力者」が君臨し、自民党長期政権の下で深刻な政治腐敗をもたらした。
任侠社会から身を起こした異端の政治家、「ハマコー」こと浜田幸一・元自民党代議士は著書『日本をダメにした九人の政治家』(講談社刊)の中でその“戦犯”を名指しで弾劾し、国民の大きな共感を呼んで165万部のミリオンセラーとなった。
発行は1993年12月。数々の疑獄事件で国民の政治不信が頂点に達し、その年7月の総選挙で自民党は過半数を割って38年間続いた政権の座から転落、細川護煕氏を首班とする非自民連立政権が誕生したばかりだった。日本政治の激動と迷走が始まった時代だ。
〈本来なら、私をはじめとする党内の腐敗物たる連中が、お詫びのしるしに腹を切って、身をひくべきところを、それもせずのうのうと居座っているから、自民党は国民の顰蹙を買い、かかる事態を招いたのである〉(同著より)
「自民党のドン」と呼ばれた金丸信・元副総裁の側近として政界の闇も裏も知り尽くしたハマコーは、同著の中で自民党総裁選や与野党の国会対策の裏で巨額のカネが動く実態を明らかにしたうえで、中曽根康弘氏、竹下登氏、宮沢喜一氏という3人の首相経験者、三塚博氏、小沢一郎氏、梶山静六氏の3人の元自民党幹事長、そして野党では田辺誠・元社会党委員長と宮本顕治・元共産党議長という日本政界を動かしていた超大物政治家8人に引退勧告を突きつけた。9人目は同年の選挙で引退したハマコー自身だ。
〈「日本の政治は、本当に正しい方向に変わるのだ」ということを示すためにも、いますぐやめなければならない〉