2007年、セ・リーグにクライマックスシリーズ(以下、CS)制度が導入されて以降初めて、巨人がCSへの進出を逃した。5月から6月にかけて球団ワースト記録となる13連敗を喫したものの、9月には3位浮上を果たし、ベテラン揃いのチームがこのままDeNAを置き去りにするかと思われた。しかし、それでも勝負所で勝ちきれなかった。野球担当記者が話す。
「シーズンを通して、高橋由伸監督の決断の遅さが目立ったように思います。キャンプ中から練習させていたにもかかわらず、マギーの二塁起用を7月になってようやく踏み切った。それによって村田修一をスタメンで使えるようになり、チームは調子を取り戻していった。二塁・マギーを開幕から敢行していれば、少なくともAクラスは間違いなかったのではないでしょうか」
若手がなかなか台頭してこないと言われる巨人だが、8月18日のDeNA戦では大卒2年目の捕手である宇佐見真吾がプロ初本塁打をサヨナラアーチで飾るなど活躍。巨人はこの日からのDeNA3連戦に3連勝。宇佐見は初スタメンとなった8月25日の阪神戦でも同点2ランを放ち、お立ち台に上がった。9月5日の中日戦では9回裏に抑えの田島慎二から低めの難しい変化球をすくい上げ、起死回生の同点2ランを見舞い、チームは延長の末にサヨナラ勝ちを収めている。宇佐見がチームに勢いをもたらしたことは明らかだった。それでも、宇佐見のスタメン起用は8月25日、26日の阪神戦のわずか2試合留まった。
「宇佐見はベテラン揃いのチームに喝を入れる貴重な存在だった。若手がスタメンに入ることでチームは活性化するし、ベテランにも危機感が沸いてくる。それなのに、スタメン2試合目にルーキーの谷岡竜平とのコンビで打ち込まれると、今季は2度とスタメンで使われなかった。あえて、ファームでバッテリーを組んできた谷岡と組ませたのでしょうけど、むしろ新人投手には経験豊富な捕手を付けるべき。逆に、菅野智之やマイコラスといったエースには小林誠司ではなく、宇佐見を使い、経験を積ませるという選択肢もあったと思います。
たしかに小林はリーグ1位の盗塁阻止率を誇り、リード面でも成長しているかもしれません。しかし、投手とあまり変わらない2割そこそこの打率では、相手投手からすればアウトを計算できる楽な打者でしかない。宇佐見を8番に置けば、気の抜けない打線になり、主軸にも良い影響を与えたはず。代打中心なのに、3割4分3厘(10月1日現在)も打っている打者をベンチに置いておくなんてもったいない」(同前)