六代目山口組から分裂した神戸山口組と、そこから再分裂した任侠山口組の間でついに抗争が勃発。9月12日、神戸市で任侠山口組・織田絆誠代表の乗った車が神戸山口組傘下の組員による襲撃に遭い、ボディガードが射殺された。山口組が3つに割れたことが全国の他団体に波及し、各地で抗争が起きる危険性はあるか。ジャーナリストの溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏が語りあった。
鈴木:実際に山口組が3つに割れた影響で、山口組、住吉会(東京)と並ぶ広域暴力団の稲川会(東京)では今年5月、破門された箱屋一家をねらった複数回の銃撃事件が発生しています。
溝口:この事件は任侠山口組が発足した直後に起きた。箱屋一家はもともと神戸山口組、中でも織田代表との関わりが深く、六代目山口組との関係を重視する稲川会の執行部で問題とされ、昨年1月に稲川会を破門されました。その後は神戸山口組が後ろ盾となっていましたが、織田代表が神戸から離脱すると、神戸の庇護がなくなった。そこを狙われたわけです。
鈴木:箱屋一家の中村豪総長と神戸の井上邦雄組長が兄弟分だったため、前線指揮官の織田代表も頻繁に出入りしていました。ところが神戸山口組が再分裂してしまい、友好団体に力を振り向ける余裕がなくなった。
それまで「関東の暴力団は手を出さなくておとなしい」とまで言われていましたが、中村総長が銃撃されたのは松戸署の目の前です。2か月で4度も銃撃事件が起き、稲川会系の組員も逮捕されている。山口組の再分裂が、稲川会の引き金を引いたのでしょう。
溝口:住吉会も組織の重石となってきた西口茂男総裁が9月に亡くなり、求心力の低下が避けられません。