安倍自民の“一強”の驕りが端的に現われているのが政府・与党幹部の「言葉」だ。投票前に、改めて読み返しておきたい。
「国難突破解散だ」──安倍首相は9月25日の会見で、少子高齢化や北朝鮮危機を“大義”と強調した。ただ、振り返れば2012年、最初に発足させた内閣を安倍氏は「危機突破内閣」と名づけていた。
安倍政権の5年間で“危機”が“国難”へと深刻化したのなら責任は安倍氏にあるわけだが、国民が5年前のことなど覚えていないとタカをくくっているからこそ、こんなネーミングができるのだ。
このように大物議員の「言葉」を追うと、この政権の本質がよくわかる。
「武装難民が来たら射殺するか」(2017年9月23日、宇都宮市内の講演)
「ナチスの手口に学んだら」(2013年7月29日、都内のシンポジウム)
「きちがいみたいな人ばっかり」(2017年9月2日、愛媛県西条市内の講演)
麻生太郎・副総理兼財務相の最近の問題発言である。読み返すとわかるが、うっかり誤解を招く表現をした「失言」で済まされるものではない。“何を言っても大丈夫”という考えが透けて見える「暴言」なのである。
たとえば「武装難民かもしれない。(略)防衛出動か射殺か」と発言した点について政治評論家の木下厚氏は「派手な言葉で支援者の笑いを誘いブラックジョークで場を盛り上げているつもりだったのでしょう。そういう意識だから何度も過ちを繰り返して謝りもしない」と解説する。