六代目山口組から分裂した神戸山口組と、そこから再分裂した任侠山口組の間でついに抗争が勃発。9月12日、神戸市で任侠山口組・織田絆誠代表の乗った車が神戸山口組傘下の組員による襲撃に遭い、ボディガードが射殺された。さらに全国の他団体でも分裂騒動が相次いでいる。3つの山口組の分裂騒動は今後どうなっていくのか。ジャーナリストの溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏が語り合った。
溝口:今は六代目は高みの見物でしょう。「痛くも痒くもない。神戸も任侠も大いにやってくれ」という気分ではないか。
鈴木:8月27日、任侠山口組が神戸山口組を批判した記者会見の翌日、神戸山口組は幹部会を開いたものの一切、この会見の話題には触れなかったようです。反論したくても、一つ言おうとすると細部にまですべて反論しなければいけなくなってしまうから、触れられないし、あえて気にしてないというポーズを取る必要があったということです。
そうして両団体が一触即発のなか、さらにその翌日、六代目の司忍組長は名古屋から神戸入りするのにあえてJR新神戸駅に降り立って、わざわざマスコミが待つど真ん中を通った。余裕の気持ちの現われでしょう。
溝口:とはいえ、暴力団は「話題になってなんぼ」という面もある。では、六代目が今世間で話題になっているかというと、全くそうではない。忘れられている状況では、よくて現状維持が精一杯。表面的に見れば安泰でしょうが、「現代に生きていないヤクザ組織」ともいえる。このままでは将来性はないと思う。
鈴木:確かにヤクザは殺して殺されて騒ぎにならないと組織の原動力にならない。抗争こそ力の源なんです。それを騒ぎ立てるマスコミも共犯関係といえるのかもしれません。
しかしその意味で歴史に“if”があるとすれば、もし神戸山口組が2015年8月の分裂後から年内くらいまでの間に、六代目に本気で抗争を仕掛けていたらずいぶん流れは違ったのではないか。神戸内の主戦派は悔しそうにそう言います。分裂直後は溝口さんをはじめ報道の熱が離脱した神戸側にあり、追い風が吹いていたわけですから。