東京五輪を3年後に控え、外国人観光客の訪日人数の激増が予想されるが、ボランティアの活動がますます欠かせなくなる。
桐生隆久さん(73)は東京大学卒業後、日立製作所に入社。機電事業部で副技師長を務めた。1999年より日立エンジニアリングのセキュリティシステム本部長を務め、60歳で定年退職。その後、紆余曲折を経て外国人観光客のボランティアガイドとなった。
「退職してすぐの頃は、旅行業者として起業しようと考えていたんです。スクールに通って旅行業務取扱管理者や英検準1級を取得しました。国家資格の通訳案内士も3年かけて取った。でも、結局仕事にはならなくて。その時に、“せっかくだからボランティアでガイドをやろう”と考えたわけです」
現在は「TOKYO FREE GUIDE」で副理事長を務める。4年間で、ガイドした外国人ゲストは100組を超えた。
「あらかじめ希望の場所を聞いた上でコースを組み立て、必ず下見をして当日を迎えます。僕は日本の歴史を感じられるところが好きなので、明治神宮や浅草寺に連れて行くことが多いですね」
朝から夕方までガイドすると1日に3万歩くらい歩くことになるという。
「朝夕の犬の散歩など、日頃からの鍛錬を欠かさないようになりました。おかげでサラリーマン時代より、ずっと丈夫で健康ですよ。
ただ、現場ではいろんな想定外のことが起きます。入念に下見をしているのに道を間違えてしまって、ゲストに気づかれないようごまかすこともあります(笑)」