今や10万人もいるという子役業界。そのほんの一握りの人気者たちにはある共通点がある。天才子役として名を馳せ、偏差値70の難関私立中に合格した芦田愛菜(13才)。日本史上最年少の主演女優としてカンヌ国際映画祭に出席、NHKの朝ドラ『あさが来た』でもおなじみの鈴木梨央(12才)。NHK大河『おんな城主 直虎』で視聴者の涙を誘った寺田心(9才)。同じく『直虎』で亀之丞役を演じた藤本哉汰(14才)。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で注目され、今年3本の映画に出演する伊東蒼(12才)。実は5人とも、同じ子役事務所「ジョビィキッズ」に所属している。
9月29日、ジョビィキッズが子育て指南書『わが子のやる気の育て方』(マガジンハウス)を発売。amazon子育てノンフィクション部門1位になるなど話題になっている。実は事務所の前身は幼児教室。その頃から約20年子供と向き合ってきた蓄積が、今子役たちへのレッスンに生かされているという。
「ここの子役さんたちは大御所俳優からの評判もいい。芝居はもちろん、礼儀作法、仕事への姿勢も大人顔負けです。“このセリフの時、私が演じる子はどんな感情を抱えているんでしょうか”とスタッフに尋ねてきて、驚かされることも少なくありません」(芸能関係者)
スタッフ3人、たった10人の子供たちでスタートしたが、今や約1000人の子供たちが所属する大所帯に。そんなジョビィキッズが明かす「子育てメソッド」をいくつか紹介すると──。
◆子供が転んでも時には抱きしめない
オーディションでは3才以上の子は親から離れて自分だけで会場に入る。どんなアクシデントがあっても、子供たちは自分自身で乗り越えるしかない。それは受験でも就職活動でも同じこと。ジョビィキッズの尾津社長が語る。
「『紅白歌合戦』(NHK)に出演した愛菜が、本番中に転倒したことがありました。ステージ袖に下がったわずかな一時、小さな声で泣きました。私たちはすぐに抱きしめたかった。でも、あえてそうしませんでした。“大丈夫。できるね“と声をかけて送り出すと、パッと笑顔でステージに飛び出していきました。こうした乗り越える力をつけた子供たちは、どんな挫折や困難にも必ず立ち向かっていけるはずです」