小中学校の運動会といえば、朝から子供たちの歓声や音楽がにぎやかに聞こえ、その地域の賑わいをあらわす季節の風物詩のようなものだった。ところが、子供と保護者が入り混じって和気藹々とする「風景」まで変化の波に晒されている。
「近所から騒音の苦情があるので、校庭ではなく、自治体の運動施設で行なう学校もある。合図のピストルがうるさいとの苦情を心配して、手旗合図にする学校も多くなっています」(教育評論家の石川幸夫氏)
それと並行して強化されているのが不審者対策で、近年は保護者の入場が制限される例まであるという。
「観覧希望者は事前登録が必要で、配布済みのシールや名札がないと敷地内に入れません。校内では保護者や関係者はサングラスやマスクも着用禁止。子供たちは個人情報保護のため、学年や名前の書かれたゼッケンを付けなくなりました」(埼玉・小学生保護者)
ある程度は仕方ないのかもしれないが、なかには父兄が“俺たちはストーカーか!”と文句を言いたくなるようなケースも。
昨年、小学生の孫の運動会を観戦した男性(68)が寂しそうに言う。
「驚いたのは、生徒の席と保護者席が離れていて、間に民間の警備員が立っていたこと。せっかく孫の応援に行ったのに『子供たちに近づいてはダメ』と注意されてガッカリでした。もう今年は行きません……」
近づくことはおろか、遠くからの「撮影」すら許されないこともある。