大きな騒動となった神奈川県大磯町の中学校での“まずい給食”問題。大磯町では、給食を民間のデリバリー業者に依頼していたが、低コストを追求するあまりに、質の低い給食となってしまうケースも多いのだ。
良質な給食業者が低コストながらも安心で、おいしい給食を届けてくれることが何よりも望ましい。しかし現実問題、それを実現するのは困難である。
学校や給食業者に不満を言うのは簡単だ。だが、それは問題の根本的解決には至らない。わが子の体は母親が守らなければならない。そこで本誌・女性セブンはあえて言いたい。「お母さん、もう一度お弁当を作ってみませんか?」と。
実際、お弁当には、目に見えない大きな力がある。
「共働きで忙しかった母。『学校の食堂の方がおいしいから、ちょうどいい』って当時は強がっていたけれど、実はたまに作ってくれるお弁当がとても嬉しかった。卵サンドとハムサンドだけの質素なお弁当でしたが、残したことはなかったです」(20代男子学生)
「料理が下手だった母が、毎日お弁当に入れていた甘すぎる卵焼き。砂糖がジャリジャリする日もあって、その時は嫌だなぁと思いながら食べていました。だけど今でも、卵焼きというとあの味を思い出します」(40代主婦)
『すごい弁当力!』の著書がある食育研究家で作家の佐藤剛史さんが言う。
「お弁当作りには手間暇がかかります。子供たちはその手間を感じることで、親の愛情を認識できるんです。自分が大切にされているんだという自己肯定感を持ったり、親の愛情が充分に伝わってくるのを意識します。それが、お弁当の持つ力なんです」
お弁当は、親と子のコミュニケーションツール。わが子を思って作るお弁当。戻ってきた空のお弁当箱は、子供からの“感謝の証”なのだ。
佐藤さんが教鞭をとる旧帝大の1つである、九州大学でアンケート調査を実施したところ、9割超の学生が高校時代に手作り弁当を食していたという。