職場のルールが様変わりしている今日、「飲み会」のステータスも変容しているのは間違いない。ただ、気後れしてばかりもいられない。コラムニストの石原壮一郎氏がアドバイスする。
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最近の若手は上司や先輩と飲むことを激しく嫌っているらしい、無理に飲みに誘うのはパワハラの一種と受け取られるらしい、上司や先輩と飲んでも得るものはないと思っているらしい……。
いつの間にか、こうしたことが定説になってしまいました。ネット上では定期的に「ゆとり世代が会社の飲み会に行きたくない理由」といった記事が話題になります。内容はだいたい共通していて、過去の武勇伝を聞かされるのはウンザリ、俺たちが若い頃はという話をされるのは不愉快、すぐにお説教が始まってうっとうしいといった理由。たしかに、そんな話題ばっかりの飲み会は、若手にとって苦痛でしかないでしょう。
しかし、自らの社会人経験を振り返ってみると、先輩や上司と飲むことで得られるもの、飲み会でしか得られないものがあるのは確かです。「得るものはない」という決めつけは、若さゆえの視野の狭さやキャパシティの小ささから来る勘違いに他なりません。違う世代と接するのが怖いからごちゃごちゃ理由を付けていたり、己のコミュニケーション能力のなさをおっさん側のせいにしている節もあります。
自分が本当の意味で若者にとって迷惑な飲み方しかできない自覚があるなら、潔くいっしょに飲むのを諦めるか、あるいは反省して接し方を変えましょう。そうでもないはずだと思うなら、遠慮する必要はありません。先輩や上司と飲むことを嫌がってはいない若者だっています。どんどん誘って、どんどん飲みに行きたいところ。
といっても、誘ったら迷惑かもしれない、内心「ちっ、嫌だけどしょうがないな」なんて思われているかもしれないと考えると、いまひとつ勇気が出ません。そんな心やさしいおっさんのために「若者を飲みに誘うための3つの理論武装」を考えてみました。
●その1「かつて上司や先輩から受けた恩は、下の世代に返さなければいけない」
●その2「10のうち1か2でも役に立つ話が出来たら、十分に意義があるはずだ」
●その3「気が進まないことでも、経験することできっと本人の成長につながる」
この3つのフレーズを心の中で何度も唱えれば、若者に対して「今日、飲みに行くか?」のひと言を口にできるはずです。それぞれ簡単にご説明しましょう。