「AKIで注意が必要なのが、高齢者です。例えば熱中症による脱水やインフルエンザの発熱などがきっかけでAKIを発症することがあります。また高血圧や糖尿病治療薬、膝、腰痛に対する鎮痛薬の長期服用なども発症リスクです。AKIは長期的な予後が悪いことがわかってきており、治っても発症後3か月、1年、3年と長期的な経過観察が大切です」(寺田教授)
予後が不良な原因を解明すべく多くの研究がなされたが、腎臓の線維化と慢性的な虚血が指摘されている。尿細管は毛細血管に囲まれ、そこから酸素を受けていて、要はAKIで尿管細胞がダメージを受けると次第に線維化が進み、毛細血管からの酸素供給が低下し、慢性的低酸素と炎症が起こり、慢性腎臓病になる。
AKIは慢性腎臓病の原因であり、長期的な慢性腎不全から透析へと辿る例もある。AKIは早期発見と治療を怠らないことが肝心だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年10月13・20日号