早稲田実業・清宮幸太郎(18)のプロ入りに多くのプロ野球OBたちが助言している。しかし最も心に響くのは、恐らく彼らの言葉だろう。思うような成績を残せなかった、元ドラ1の“先輩スラッガー”たちだ──。
「私の野球人生における“しくじり”は、ホームランにこだわり過ぎたことかもしれません」
そう口にするのは、1999年に豊田大谷高校からドラフト1位で横浜に入団した古木克明氏(36)だ。現在、神奈川県にあるスポーツジム「パルバルクラシック」などで野球教室を開いている。「松坂世代」のひとりとして甲子園で活躍すると、“レフトにもホームランが打てる左の長距離砲”として期待された。
「入団4年目の2003年にはレギュラーになり、22本のホームランを打ちました。『やっていける』という手応えを掴んだつもりでしたが、プロの世界は甘くなかった。ホームランを打つことにこだわりすぎて、スランプに陥ったんです。スコアラーなど周囲の人は相手投手の攻略法など色んなアドバイスをしてくれましたが、素直に聞き入れられなかった」(古木氏)
2004年以降の成績はふるわず、右肘の故障にも悩まされ、2008年にオリックスにトレードに出される。だが新天地でも出場機会は得られず、2009年に引退した。古木氏はこんなアドバイスを送る。
「今の清宮君のバッティングは、悪い意味で私に似ている。ホームランを打つために身体の回転を意識しすぎていて肩の開きが早い。このままではプロのスライダーは打てません。プロに入ってからも、周囲の助言を受け止められる心の余裕は持ち続けてほしい。素質は桁違いなので、凄い打者になってくれると思います」