女優の葵わかな(19)が主演を務めるNHKの連続テレビ小説『わろてんか』。10月スタート以降、視聴率20%前後をキープし、好調が続いている。序盤戦の課題と今後の見どころについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
* * *
そんなわけで、にぎやかに始まった新朝ドラ『わろてんか』。京都の老舗薬種問屋の娘、藤岡てんが、旅芸人の青年、北村藤吉と恋に落ち、後に日本中に「笑い」を広めるビジネスを始め、奮闘するという物語だ。
スタート2週目の時点でこのドラマについて思うのは、ゆるぎない「鉄板感」である。まず、てんの幼少期を演じるのが新井美羽。笑い過ぎて大事な商談を壊しかけたり、芝居小屋で俄(コント)に大笑いしたり、元気いっぱいだ。
そのてんを怖い顔でにらみながらも大事にする堅物の父儀兵衛が遠藤憲一。そして相手役藤吉の松阪桃李も『梅ちゃん先生』で一途な相手役を演じた経験者。この他、てんの親類にして幼なじみの使用人、風太が鈴木福(幼少期)→濱田岳、てんの見合い相手の製薬会社の御曹司、伊能栞に高橋一生と芸達者揃い。「鉄板中の鉄板キャスト」と言ってもいい。
達者な俳優によるドラマは、朝ドラらしい安心感をもたらすが、それと同時にこの人はきっとこういう演技をするだろうという「既視感」にもつながる。新井の演技は、今年の始め、大河ドラマ『おんな城主直虎』でも発揮されたばかり。遠藤も近年、怖い顔だけど面白いおじさんとして親しまれている俳優である。誰もがぴったりすぎて、はみ出した面白さがまだ出ていない印象だ。