「動物の体調管理などを中心に、獣医のような仕事をしていると聞きました。真面目で大人しそうなかたでしたよ。山歩きが趣味で、きのこやたらの芽を採ってきてお裾分けしてもらったこともありました。3、4年前かな、離婚して奥さんがお子さん2人を連れて出て行ってしまったんです。なんでも、DVのようなトラブルがあったとかで」
職員の逮捕に、陛下はもちろんのこと美智子さまも痛嘆だろう。だが遡る4か月前の今年6月にも、御料牧場全体を揺るがす事態が起きていた。
《御料牧場で上司が部下に暴力》
畜産課に所属する40代の男性職員2人が業務中、部下に殴る蹴るなどの暴力を振るっていたことを地元紙が報じた。作業道具の木製棒などでたたくといったもので、少なくとも2016年頃から日常的に行われていたことが内部告発でわかったという。御料牧場側は「行きすぎた行為」として口頭で注意したものの「指導の一環だった」として処分は行わず、宮内庁への報告もしていなかった。
しかし、これで幕引きとはならなかった。報道を受け宮内庁が調査を行ったところ、暴力行為以外にもあってはならないことが発覚したのだ。
「暴行を働いたうちの1人が、自宅で缶チューハイを飲んだ4時間後に車で出勤していたことが明らかになったのです。明らかな飲酒運転に、暴力の一件も改めて問題視され、2人にはそれぞれ減給と戒告の懲戒処分が下りました。その後、パワハラをした人間は同じ部署に留まり、一方で暴力を受けた人は牧場内のほかの部署に異動しました」(前出・宮内庁関係者)
かつて御料牧場に勤務していた80代の女性は嘆きの感情を隠さない。
「皇室に関係する尊い場所ですから、陛下のために、お国のためにという気持ちも持って勤めておりました。当時の職員はみな、品行方正を大切にしていました。昔は厳しかったですが、今はね…」
皇室ジャーナリストが言う。
「御料牧場は宮内庁の施設ではあるのですが、東京の本庁とは物理的にも心理的にも遠い存在です。牧場長は農水省から宮内庁への出向で、次長も本庁からの派遣が慣例ですが、言ってしまえば定年を待つ間の“あがりポスト”。その他の職員は原則現地で採用されているため、例えば皇居や赤坂御用地を担当する部署へ異動することもありません」
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年10月26日号