好調なスタートを切った朝ドラ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
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「わろてんか」の意味は「笑ってください」。「吉本興業」の創業者・吉本せいをモデルにしたヒロイン・藤岡てんの物語。NHK 朝ドラ『わろてんか』もスタートから2週間。いよいよこのドラマの見所、魅力の在処がわかってきました。5つポイントを挙げると……。
【1】文句なし、豪華な男優陣に眼福の朝
松坂桃李。高橋一生。千葉雄大。言うことない。彼らをじっくりと見られる朝ドラなんて眼福。特に、新たな魅力と役者としての可能性を見せてくれた千葉さんの演技には、名残惜しさで一杯です。
これまで千葉さんは主に「かわいらしい男子」ぶりを発揮してきた。けれど今回の朝ドラでは病の苦しみを抱え、妹への包み込むような愛を持ち、家業と時代への広い視野を持つ。そんな知的存在として輝いて見えた。イケメン俳優を脱し個性派俳優へとジャンプしていこう、という意気込みが、ひしひしと伝わってきました。その病もできればドイツの新薬で治療して欲しかった。たった2週間で千葉さん退場ではあまりに短かくてもったいない。
そして……てんの縁談相手として登場してきた伊能製薬社長の息子・伊能栞を演じる高橋一生さん。伊能は帝大卒、貿易会社経営、容姿はスマートと、ありえないハイスペック。その上、暴漢に囲まれたてんを、えいやっと助け出す格好よさ。敵をなぎ倒す時の鮮やかな立ち回り、その肩幅の広さや胸の厚さに、はっとさせられる。
高橋さんってこんなに骨太だったっけ? もっと華奢じゃなかったっけ? そんな落差もまた魅力的。唸らされるほどの演技上手。
次々にタイプの違う人物に成り代わっていく役者の度量を味わうこともまた、ドラマ視聴の楽しさ。これからは伊能とヒロインをわたりあう北村藤吉・松坂桃李さんの活躍に注目。伊能とまた一味違った男ぶりを堪能したいものです。
【2】ヒロイン・てんを演じる葵わかなの安定感
ヒロインオーディションで2378人の候補者の中から選ばれた葵わかな。演技歴はさほど長くないのに、実に安定した演技。主人公の軸が安定していると、その分ドラマとして周辺をさまざまに展開させていくことも可能になります。