中国国内で汚職に関わり米国に逃亡し国際刑事機構(ICPO)から指名手配を受けている中国人大富豪が、中国最高指導部の1人で、習近平国家主席の腹心である王岐山・中国共産党中央規律検査委書記(政治局常務委員)やその親族の「裏金作り」などを告発。この件が波紋を拡げているが、米トランプ政権で首席戦略官兼大統領上級顧問を務めたスティーブン・バノン氏と親密な関係を築いていることが明らかになった。
トランプ大統領は対北朝鮮制裁問題で、中国指導部が制裁に協力していないなどと批判しており、米中関係がぎくしゃくしている折、中国指導部にとっては気になる動きであることは間違いない。米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じた。
この中国人大富豪は上海の海通証券の郭文貴・元会長。郭氏は曽慶紅・元国家副主席の側近で、海外のスパイ工作の責任者だった馬建・元国家安全部副部長を通じて、ビジネスを拡大していったとされるが、2015年、馬氏が汚職で逮捕されたことを事前に察知し、香港経由で米国に逃走していた。
郭氏は現在、ニューヨークの豪邸に住み、米国への亡命を申請。米国に逃亡した際、馬氏から得た中国共産党・政府高官のプライベート情報や党政府機関の機密書類も多数携行したと伝えられている。
また、米国内で、これらの機密情報をもとに王岐山氏や親族の不正蓄財を告発している。
郭氏は10月5日にもワシントンのナショナルプレスクラブで記者会見を行って、中国指導部を批判したが、そのあと、ワシントン市内でバノン氏と面会し、ランチをともにした。2人は10日にも、郭氏のニューヨークの自宅で会い、ディナーをはさんで3時間半会談したという。