安倍首相は「国難突破解散」と名付け、北朝鮮危機を選挙の中心に据え、国連演説でも「圧力」の強化を訴えた。だが、首相は知っているのだろうか。国際社会が北への経済制裁を強化している最中、京都の一等地の売却益が北朝鮮に流れるのではないか──そんな情報が駆け巡っていることを。ジャーナリスト・伊藤博敏氏がレポートする。
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JR京都駅前のシンボル「京都タワー」を左に見ながら烏丸通を北上。烏丸七条交差点を右に少し歩いた材木町の一角に、3300坪という広大な駐車場が広がっている。駅から徒歩5分ほどで、周囲には旅館や商店が密集する一等地だけに、突然現われる広々とした空間に違和感を覚える。
入り口にかけられた看板にはこうある。
〈当該不動産を売却する予定はございません。(中略)マスコミ・インターネット等による当該不動産に係る報道は事実ではございません〉
周辺の不動産業界で、「材木町物件」と呼ばれるこの土地は、20年以上も開発されずに残る“怨念の土地”だった。その地が8月末、ついに売却されたという。
「8月30日に外資系金融機関を中心とする特別目的会社に、737坪を約110億円で売却したのです。この特別目的会社は、500室程度のホテルを建設するとのことです。同和団体から暴力団、北朝鮮までさまざまな名前が飛び交った土地で、誰もが手を出せなかった。それが売れたということで、地元の不動産業者らの間ではビッグニュースになっています」(京都の不動産業者)
多くの観光客が訪れる京都に新たな宿泊施設ができる──そんな単純な話ではない。それはこの土地の歴史から窺える。