60すぎた頃から、醤油をかけすぎていませんか──味に鈍感になる“症状”が気付かないうちに進行すると、重篤な病気につながるリスクがある。本誌・週刊ポスト前号で取り上げた「味覚障害」特集には、驚きの声とともに、“自分もそうかもしれない”という反響が多く寄せられた。
「たかが味覚の変化」と侮れない“身近で危険な病”の正体を、さらにレポートする。
「ずっと妻から食事中に“あなたがおかしい”と言われていた理由がようやくわかりましたよ。確かに、ここ最近、いくら味を濃くしてくれと妻に頼んで調整してもらっても美味しくならないなと思っていたんです」(73歳・男性)
味覚障害特集に対して、読者からは様々な声が寄せられた。
「思い返せば亡くなった父親も70代の頃に醤油ドバドバをやっていた。それを見ておかしいと思っていたのに、気が付いたら私も60をすぎてから同じようなことをやっていた。それがまさか命に関わる症状だったとは……」
そう語る都内在住の男性(65)のように、記事を読んでハッとした人が多かったようだ。味覚障害の恐怖は何より、自覚症状が乏しいところにある。
人間は舌にある味蕾(みらい)という器官を通じて食べ物の味を感じる。しかし舌で受けた刺激が信号として脳に伝達される際、ストレスや体調不良、あるいは服用している薬の副作用などによって、伝達に乱れが生じ、味の感じ方がおかしくなることがある。それが味覚障害である。