10月27日に開幕を迎える第45回東京モーターショー(TMS)。バブル時代には最高で200万人を集め、押しも押されもしない世界5大モーターショーのひとつとされていたのも今は昔。リーマンショックを機に海外勢の多くが撤退し、今やすっかりローカルショー化。入場者数も激減し、100万人以下の水準で推移。前回の入場者数は1割減の81万2500人どまりであった。
今、その退勢を跳ね返せなければ、モーターショーとしての存在意義すら問われかねないということで、主催者の日本自動車工業会は「量から質への転換」を懸命にアピールしていた。
ところが、西川廣人自工会会長が社長を務める日産自動車が、新車の完成検査にまつわる不祥事を起こしたことで活動を自粛し、急きょトヨタ自動車の豊田章男社長が会長代行としてショーの顔役になるなど、運営は混乱。
弱り目に祟り目のTMSは果たして反転攻勢に転じることができるのか。
「自工会や日本の自動車メーカーは、ショーを通じて日本の技術力を世界に誇ることばかり考えています。が、東京モーターショー復活のカギを握るのは、クルマへの興味を失った日本の顧客層の目をふたたびクルマに向けさせることができるかどうかだと思う」
TMSに関わってきたある自動車業界団体関係者は語る。
「東京モーターショーは国際自動車ショーだと言われてきましたが、全盛期に200万人もの入場者を数えた時代も、来場者のほとんどが日本人だったということを忘れてはいけない。規模が大きかっただけで、性格はもともとローカルショーだったんです。
当時の日本は普通の人にとってもクルマは大きな関心事で、今度はどんな素敵なクルマが出るんだろうか、あるいは自分の手の届かないドリームカーの実物を見たいといった動機で来場してもらっていました。その日本人の関心が薄れれば、入場者が減るのは当然」(同前)