10月26日のドラフト会議で、史上6人目の「東大卒プロ野球選手」誕生が現実味を帯びてきた。東京六大学野球の秋季リーグ戦で、東大に15年ぶりとなる勝ち点をもたらした立役者であるエース左腕・宮台康平(4年)だ。東大野球部の特別コーチを務める中日OB・谷沢健一氏は、宮台の素質を高く評価する。
「過去に東大からプロ入りした選手では、新治伸治さん(1965~1968年、大洋)が通算9勝をあげましたが、それを上回るパフォーマンスができるはず。右打者の内角に最速150kmのストレートを投げ込めるし、チェンジアップもいい。研究熱心な努力家です」
すでに阪神、横浜、ヤクルト、ソフトバンク、西武などが東大の試合、練習を視察に訪れている。
心配なのは本当に「戦力」になるかだ。奇しくも、宮台がプロ志望届を出す2日前、2014年にドラフト2位でロッテ入りした京大卒の田中英祐(25)が戦力外通告を受けている。
「入団当初は『京大君』としてマスコミの注目を集めましたが、1年目の4月の一軍デビュー戦で3回KOされるなど、結果を残せず二軍暮らしのまま戦力外に。実力より話題先行で獲得が決まった面もあったのでしょう」(アマ野球担当記者)
“高偏差値選手”を獲得する球団の考えについて、ヤクルトの元スカウト・片岡宏雄氏はこう解説する。
「東大や京大に入るには高校時代の受験勉強が欠かせず、プロでやるには基礎体力が劣りがち。私もスカウト時代に、東大の遠藤良平(1999年に日本ハムが7位指名)に注目したが、やはりプロのレベルにないと判断して指名を見送った(遠藤は2001年に現役引退)。ただ、過去の東大卒プロ選手5人のうち4人が引退後に職員やコーチ、幹部として球団の仕事をしていることからもわかるように、球団は地頭の良さも買って指名する。引退後は指導者やフロント陣として“戦力”にしたいという思惑があるのです」