ビジネス

日本ワインの人気じわり 良質化進むが市場拡大には不安も

国産の認知向上を目指すシャトー・メルシャンのワイン

 今年もボジョレー・ヌーボーの解禁月が近づくなど、なにかとワインが注目を浴びるシーズンがやってきたが、ワインドリンカーにとっては残念なニュースも報じられている。

 世界のワイン生産量の多くを占める本場フランスやイタリア、スペインなど欧州が異常気象の影響でブドウの栽培が数十年ぶりの不作に見舞われているという。また、米国で起きた大規模な山火事により、有名なワイナリーが20以上も被害を受けているとの情報もある。こうした不測の事態により、輸入ワインの生産量減少や流通価格の高騰が心配されているのだ。

 だが、輸入に頼らなくても、近年は国産ぶどう100%でつくる「日本ワイン」の人気がじわじわと高まっている。まだ国内シェアは5%程度と輸入ワインに比べたら雲泥の差といえるが、メルシャンが今年4月に発表したアンケート結果では、日本ワインのイメージは「おいしい」「飲みやすい」「食事に合う」と答えた人が多く、じつに80.8%が「日本ワインのクオリティは高くなっている」と回答した。

 フードコンサルタントで、都内でワインバルを営む白根智彦氏も日本ワインの実力を高く評価する。

「日本ワインは派手さこそありませんが、日本の食に合った自然な風合いの優しいワインの品質が特徴です。

 近年、ますます美味しくなった要因は、ぶどうの木の栽培技術の研究が進み、質が格段に向上したことに加え、醸造技術もアップして心意気を持った人々の“マイクロワイナリー(小さな醸造所)”が増えてきていることに起因していると思います」

 白根氏によれば、もともと日本はワイン用のぶどう栽培に適した夏季の乾燥や寒暖差がないため、収穫しても生食用が優先されてきたが、「いまでは土地の適正に合わせて日本固有品種のぶどうも生育し、ワイン醸造専用に作られることも珍しくなくなった」(白根氏)という。その結果、日本ワインは国際コンクールでも入賞の常連となるなど、世界的にも注目されるブランドになりつつある。

 そんなメイド・イン・ジャパンのワイン市場を押し上げようとする動きも加速している。

 前出のメルシャンでは、山梨県甲州市勝沼町にあったワイナリーに加え、長野県に新たに2か所のワイナリー(塩尻市の桔梗ヶ原ワイナリーと上田市の椀子ワイナリー)を設立すると発表。日本ワインの販売量を現在の3.5万ケース(720ml換算)から2027年には倍近くの6.7万ケースまで増やす目標を掲げた。

「多様化するワインニーズの中で、日本ワインはこれからも成長ドライバーになる可能性が高い。もっと注目度を高め、日常の生活に定着していくことを目指していきたい」

 メルシャンの代野照幸社長は、10月17日に行われたワイナリー増設の会見で、こう意気込んだ。ゆくゆくは国内のみならず、オリンピックを契機としたインバウンド需要の取り込みや海外輸出の広がりも視野に入れていると説明する。

 しかし、日本ワインの市場拡大には限界もある。前出の白根氏がいう。

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン