いまや女優、作家、ダンサー、実業家、ディレクターと様々な顔を持つ杉本彩だが、「この写真集が私の転機となった」と振り返るのが、豪華ヘアヌード写真集『PORNO』(バウハウス刊)だ。彼女がいま、伝説の写真集に込めた当時の思いを語る。
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写真集『PORNO』を作ったのは、30歳をちょっと超えた頃。映像で、自分をとことん表現できるエッジの利いたことをやりたいという思いがマックスにたまっていた時期なんですよ。それで、自分主導で、その時の自分を一番表現できるものとして、写真集の世界を選んだんです。
最初にファッションデザイナーのアキコ・エリザベス・マイエさんとのコラボレーションでやろうと決めて、そこにカメラマンの管野秀夫さんが加わってくださって。私の写真集というよりは、3人のエネルギーがぶつかり合うコラボレーション作品にできたらいいよねっていうところから、内容が煮詰まっていったんです。
時代背景や場所がよくわからない、誰も見たことのない世界での出来事というのを写真にしてみたかった。
「PORNO」というタイトルを付けたのも私なんです。封建的な日本社会に対する反骨精神が若い頃から強くて、問題提起の表現として選んだのが「PORNO」というワードだったんです。
撮影では、この時代にあまり知られていなかったポールダンスに着目して外国人ダンサーになったり、蓮の花の浮かぶバスタブで女神になったり。中にはホラーチックな写真もありますが、エロスもホラーも美しくなければいけないと思っていて、私の中では同じライン上にある。