冬を待たずしてすでにインフルエンザが流行の兆しを見せている。厚労省の発表では、9月のインフルエンザ患者数は3895人で2016年の約2倍となっている。全国の小中学校でも3校の休校、17の学年閉鎖、57の学級閉鎖が出ている(10月8日時点)。
日本とは季節が真逆の南半球、特にオーストラリアでもインフルエンザが大流行している。豪政府の統計によれば、9月29日の段階で19万5312人の罹患者、417人の死亡者が確認されている。
日本の集団感染で確認されているウイルスは従来からあるB型が中心だが、オーストラリアではA型、B型のインフルエンザが同時に流行し、死者の多くは香港A型の一種である「H3N2亜型」に罹患していた。
もし日本のB型ウイルスに南半球で猛威を振るったH3N2亜型が加われば、人口密度の高い日本では豪州以上の大流行が懸念される。
不安に拍車をかけるのが、国内でのインフルエンザワクチンの供給不足だ。厚労省は、今年度のワクチン製造量が昨年度比で4%減の見通しとなると発表している。「わずか4%なら……」とも思えるが、事態はもっと深刻だ。北品川藤クリニックの石原藤樹院長が解説する。
「問題はシーズンを通じてのワクチン供給量ではなく、ワクチン製造・出荷が例年より大幅に遅れており、10月の現時点でワクチンが各医療機関で不足していることにある。当クリニックでも例年の半分程度の量しかワクチンを用意できておらず、新規のワクチン接種は受け付けられない状況です。
ワクチンは接種してから効果が現われるまで2週間から1か月を要します。昨年と同等の供給体制となるのは12月3週からというが、それでは“時すでに遅し”の可能性もある」