10月26日のプロ野球ドラフト会議、早稲田実業の清宮幸太郎と並んで注目を集めること必至なのが履正社の安田尚憲である。日本唯一の高校・大学球児向けフリーマガジン『サムライベースボール』発行人の古内義明氏が、安田との取材秘話を綴った。
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スカウトの間では早くから、東の横綱が早稲田実業の清宮幸太郎なら、西の横綱は履正社の安田尚憲と評価されていた。9月22日、清宮がプロ志望を決断した日、時を同じくして、その安田もプロ志望を表明している。
安田と清宮は、直接対決したことが一度だけある。昨年の明治神宮大会決勝で、初回に清宮がライトスタンドに打ち込むと、負けじと安田も3ランを叩き込んだ。
「先にホームランを打たれて、他の選手からも結構ハッパをかけられていたので、やってやろうという気持ちは確かにありました」
そう振り返った安田は神宮大会初制覇に貢献。軍配は安田に上がった。
今夏、単刀直入に、彼に尋ねた。「ライバルは誰か」と。安田はこう吐露した。
「ずっと意識していたのは清宮かもしれないですが、ライバルとまでは思わないです。なぜなら、1年生の夏に、彼は先に甲子園に出ていて、凄いなと見ていたので。いつか抜いてやろうという気持ちもありましたが、ライバルと言う程の感覚はなかったです」
安田は高校通算65本塁打をマークしたが、清宮の111本塁打は、安田のはるかに上を行き、数字的には圧倒された。二人は侍ジャパンU18の代表として、カナダで行われたワールドカップで共にクリーンアップを務め、世界三位に輝いた。安田による清宮評は揺るぎがない。
「清宮は前でさばくローボールヒッターな感じがします。そして、やっぱり間の取り方が凄いです。どのボールに対しても、きっちり振ってくるバッターだと思うので、そこは見ていて凄いと思います」
安田の父・功さんは大阪薫英女学院高の陸上部監督であり、兄・亮太さんはPL学園から三菱重工名古屋野球部で主将を務めるスポーツ一家だ。功さんは社会の先生で、小さい頃から歴史関係の本を読み漁るうちに、安田は日本史が得意になったという。
「好きな時代は戦国時代で、好きな武将は真田幸村です。大坂夏の陣でも自分の死が分かっている状態で、最後まで自分の仕事をやり遂げるところがたまりません」と語るように、かなりの「歴男」だ。
デットリフトで200㎏ぐらいをマークするほどの鍛えられた背筋から放たれる放物線の理想像は、巨人やヤンキースで活躍した松井秀喜氏だという。
「松井さんの度肝を抜くようなホームランに憧れます。ライナーで東京ドームの看板に当てるようなホームランを見て、いつかこんなホームランを打ちたいという気持ちになりました!」
松井氏並のボディを手に入れるために、朝食にはお気に入りのパスタで炭水化物を摂取し、勝負飯には大好物の焼肉のハラミで精をつけている。