10月1日に放映されたNHKスペシャル「“腎臓”が寿命を決める」が話題を呼んでいる。番組では、血液中に含まれるリンという栄養素が老化に大きく影響していると解説。リンは肉や豆類などに含まれる重要な栄養素で、血中のリンの量の調節は腎臓の重要な機能となっている。足りなければ様々な病気を引き起こす一方、多すぎると老化を加速させてしまうという。だからこそ肝臓と並び「沈黙の臓器」とも呼ばれる腎臓には万全のケアが必要なのだ。
そんな腎臓そのものを“強化”するためには「運動」が重要だ。英国の研究チームの2014年の発表では、腎臓病患者を「運動をしないグループ」と「1日40分の運動を週3回行なうグループ」に無作為に分けて1年間追跡調査。腎機能指数である「eGFR値」(正常値60以上)を比較したところ、運動しないグループが数値を悪化させたのに対し、運動をするグループでは回復が確認された。
腎臓病患者や腎臓に不安を持つ人々のために「腎臓リハビリテーション」を提唱する東北大学大学院医学系研究科教授の上月正博氏がいう。
「かつては運動をすると尿たんぱくが増え、腎機能に悪影響があると考えられてきた。しかし近年の研究では、長期間、定期的に軽い運動を行なうことが腎機能の低下を防ぐと分かってきたのです。
運動療法は血圧を下げ、腎臓内の血管を守ることができる。1日20~30分、週3~5回の有酸素運動、つまりウォーキングがいい。これに筋トレを加えることで、より効果的になる。10年人工透析を続けてきた70代の女性患者はこれらにより半年で驚くほど回復した。
腎臓病は悪化すると手の打ちようがないと思われがちですが、そんなことはない。高齢者にはウォーキングに加え、『ヒップリフト』と『ダイナミックフラミンゴ』と名付けた2種類の筋トレを勧めます」