信は力なり──。ドラマ『スクール☆ウォーズ』(TBS系)で川浜高校を率いた滝沢賢治(山下真司)が心に刻んでいた名言を思い起こさせるようなラミレス采配だった。
セ・リーグのクライマックスシリーズ(以下、CS)を制して、19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた横浜DeNAベイスターズ。CSファイナルステージ第5戦では、先発の石田が初回にいきなり2失点を喫する。すると、ラミレス監督は2回からシーズンで防御率6.15と安定感に欠けた三嶋一輝を起用した。野球担当記者が話す。
「三嶋は今季唯一の先発となった6月8日の楽天戦では5回8失点でKOされ、二軍落ち。7月からはリリーフに回りましたが、安定感に欠けていた。9月9日の阪神戦では鳥谷敬にサヨナラ打を浴びた。左の鳥谷に三嶋をぶつけたラミレス采配は批判されたものです。
9月23日の中日戦には、13対0とリードした7回裏に登板したが、4連打を喰らって2失点。9月28日の阪神戦では、0対8と大量リードを許した場面で投げて、3失点。シーズン中はほとんど勝敗に関係ないところで投げており、計算の立ちにくい投手だった。それでも、ラミレス監督は三嶋の球威をずっと評価し続けていた」
CSの大一番では、打たれれば間違いなく疑問視されたであろう起用だったが、三嶋は2回を無失点に抑える。3回には桑原将志の逆転弾を呼び込み、シーズン0勝の男が大一番で白星を挙げた。