◆盟友・三浦知良が熱唱
9月22日の東京・中野サンプラザでは、田原に所縁ある2人の男が登場した。衣装を替えて新曲『フェミニスト』を歌い上げると、作詞・阿久悠、作曲・宇崎竜童の『ベルエポックによろしく』に切り替わる。サングラスをかけた田原が1番を終えると、上手側に消えていく。ファンが困惑した瞬間、下手側からあの男がスタンドマイクを持ってやってきた。田原と30年来の付き合いになるキング・カズこと三浦知良が現れたのだ。
カズはまるで自分の持ち歌を歌い始めるかのように、何の違和感もなくステージに立っていた。
「カズの歌い方は『トシちゃんに似ている』とか『モノマネをしている』という次元ではない。カズ自身に、似せようなんて気持ちは全くないのではないか。好きでやっていたら、結果的に『似てしまった』という言い方が正しいと思います」(同前)
歌詞を発する細かいタイミングから指をさす角度、表情に至るまで、完全に田原俊彦が“憑依”しているかのようだった。カズが観客に指をさすポーズを決めた時、そのあまりの酷似ぶりに、真横で観ていた田原の表情は笑顔で溢れ返っていた。
カズは2番を完璧に歌い終えると、まるでゴールを決めた後かのようにファンに手を振り、余韻を楽しみながら舞台から去っていった。
デビュー曲『哀愁でいと』から始まったシングルメドレーでは、『キミに決定!』で当時と同じように下手側からスケボーに乗りながら登場。今も変わらぬ平衡感覚でステージを半周して、唄い始めた。『悲しみ2ヤング』『グッドラックLOVE』『君に薔薇薔薇…という感じ』を含む5曲のメドレーを昔と変わらぬキーで歌い上げた。