“国政進出”で手痛い完敗を喫した小池百合子・都知事にとっては泣きっ面に蜂か。投開票日に訪れていたパリで、東京五輪に向けたさまざまなアピールを繰り返し、軌道修正したものの、その五輪に浮上したあの「疑惑」に関する捜査が、知らぬ間に急激な進展を見せていたのだ。“震源地”は2016年大会の開催国・ブラジルだった。
「10月に入り、東京五輪に関する疑惑の捜査が進み、逮捕者まで出たのです」(五輪の汚職問題を取材している国際ジャーナリストの山田敏弘氏)
10月5日、ブラジル連邦警察はリオデジャネイロ五輪招致にからみ、票の買収に関与したとしてブラジル・オリンピック委員会のカルロス・ヌズマン会長を逮捕した。
容疑は開催都市が決定した2009年のIOC(国際オリンピック委員会)総会の投票前、ブラジル企業がIOC委員で国際陸連前会長のラミン・ディアク氏の息子パパマッサタ氏に提供した200万ドル(当時のレートで約2億5000万円)を仲介したというもの。これが、ブラジルの五輪招致委が票を買うために提供した“裏金”だったと見なされたのだ。大手通信社の現地支局員が解説する。
「セネガル人のディアク親子は、ロシアやアフリカ勢のIOC委員の票の取りまとめ役と見られていました。逮捕は、この賄賂疑惑を捜査していたフランス司法当局からの情報提供がきっかけでした。最大の関心はフランス当局がこの逮捕の“先”を見据えていると思われることです。リオ五輪と同様に東京五輪招致でも、ディアク親子に多額の金銭が渡った疑惑があるため、捜査の焦点は東京に移っていくとも報じられている」