スペインのカタルーニャ独立をめぐる動きに対し、日本でも関心が高まっている。評論家の呉智英氏が、一国が独立するために必要なことを考えた。
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スペインのカタルーニャ自治州の独立を目指す動きが混沌としてきた。十月一日の独立の是非を問う住民投票で、独立賛成が九割を超え、州政府首相は独立宣言を発する直前まで行った。しかし、中央政府は、住民投票が憲法に違反しているとして自治権を停止し、州議会の解散や州政府要職者の権限の縮小に踏み切ろうとしている。州都バルセロナでは、独立を叫ぶ大規模なデモが連日のように展開され、先行きは不透明だ。
スペインは日本人にとって必ずしも身近な国ではないが、カタルーニャの動きに関心を持つ人は中高齢者を中心にかなりいる。私自身その一人だ。スペイン史に詳しいわけではないが、1936年のスペイン内戦、それに義勇軍として加わったイギリス人作家G.オーウェルの『カタロニア讃歌』を通して、カタルーニャへの親近感があるからだ。フランコの軍事独裁と闘って以来の独立の気風に共感を抱いているわけだ。
「独立」という言葉は一般的に魅力的である。この言葉の対義語は「従属」である。両者を並べてどちらが好きかと問われれば、誰でも独立を選ぶだろう。アメリカの独立もイギリスへの従属からの解放であったし、1960年前後のアフリカ諸国の独立も西欧諸国の植民地主義からの独立であった。
日本においても事情は変わらない。