総選挙において全国各地で自民党候補者の応援弁士を務め、安倍晋三首相以上の動員力を見せつけて「自民党の新しい顔」となった小泉進次郎・筆頭副幹事長。今回の総選挙は安倍首相にとって“師匠”である小泉純一郎氏の息子である進次郎氏の人気を利用する絶好のチャンスとなった。政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「イエスマンではない進次郎に全国行脚させることで安倍さんは逆風をプラスに変えた。これは手始めです。
憲法改正という超大型の政治課題に取り組むには高い支持率を維持しなければならない。かつて小泉元首相がやったように、今度は安倍さんが進次郎を手元に置いてその人気を自分の政権の安定にとことん利用しようとするはずです」
そのためには進次郎氏をしっかり政権に縛り付けておく必要がある。実は、首相が総選挙で突然掲げた「全世代型の社会保障への転換」は進次郎氏が提唱する政策だ。政策を融合させることで、後継のレールを敷き、《安倍の自民党》に取り込む意図が透けて見える。
果たして進次郎氏は“安倍傀儡”に甘んじるのだろうか。自民党が政権を失った2009年総選挙で初当選した進次郎氏は、若くして首相になったことで失敗した安倍氏を反面教師とするかのように、正反対の政治姿勢をとってきた。父や安倍氏が所属していた細田派に入らずに無派閥を通し、自民党総裁選(2012年)では安倍氏と争った石破茂氏に投票して反安倍の道を選んだ。
内閣改造のたびに入閣候補に名前が挙がっても、「まだまだかけるべき『雑巾がけ』の期間がある」と下積みを志願し、決して“親の七光り”で出世コースに乗ろうとはしない。自分への当てつけのようにさえ見える政治家人生を歩む進次郎氏は、安倍首相にとっては不気味な存在だ。